はじめての東北ヒッチハイク旅
はじめに
ここのところ、「人生」について考える機会が多くありました。
死ぬ瞬間に「ああ、アレしておけば良かった…。あそこ行きたかったなあ…。これやり残しちゃったなあ…。」 そんな風に後悔することは、出来たら一つも残したくないんです。
そんな自分の、死ぬまでにやりたいことリストの中に、
「ヒッチハイクで旅をすること」
と、
「岩手の沿岸をこの目で見ること」
という2つがありました。
ヒッチハイクの経験のある友人が、私の周りに2人います。
「最初は無理だと思っていたけど、色んな人の優しさのお陰で達成できた!」
「なんだか前より、少し人間的に大きくなった気がする!」
「人に優しくしたい、誰かに恩返しがしたい!」
こんな風に目を輝かせながら語るのです。
彼らの話を聞いていると、ワクワクすると同時に羨ましく思いました。
しかし先日「人生は短いので、思い立ったら基本的に即行動すること」を心に誓ったのです。
この旅を思いついた2日後の朝、まずは盛岡を目指して出発することにしました。
まずは、常磐道へ!
ヒッチハイクで長距離移動するためには、なんとしても高速へ乗りたいのです。
高速に乗りさえすれば、サービスエリアを乗り継いで移動できると考えたからです。
一番近いインターチェンジである、柏ICの手前の国道で、準備したスケッチブックをリュックから取り出しました。
可愛い表紙を一枚めくって、
意を決して掲げてみました。
この時の胸の高鳴りは今でもハッキリと覚えています。
人生初めてのヒッチハイク。
ヒッチハイクをしている人なんて、テレビくらいしか見たことがありません。
まさか自分が今、本当にしているなんて…。
緊張と恥ずかしさが入り混じった感情で、でも表情は自然な笑顔を心がけながら、ドライバーの反応を確かめてみます…が…
スルー。
中々目も合いません…。
そりゃそうです。
普通に考えて、見知らぬ人を車に乗せようなんて、中々思うわけありません。
乗せる側に、メリットなんてほぼありません。
出来ることなら、気づかないフリをして走り抜けたいものですよね。
でもたまに手を横に振りながら、「ごめんね、今日そっち行かないんだぁ」と窓越しに声をかけてくれる方もいらっしゃるのです。
20分、30分と時間が過ぎて、孤独な気分でいる中にこんな声をかけていただけるのは本当に嬉しく、心の支えになりました。
…とはいえ中々、停まってはくれません。
色々場所を変えつつ試しながら、1時間以上が経ち、少し諦めかけていたある時、一台の車が少し先で停車しました。
たまたま停まっただけだろうと頭では思いつつ、体は車の方に小走りで向かっていました。
ドライバーの方が、「守谷までで良いんだったら、乗ってく?」と声をかけてくれました。
私には後光が見えました。
神様が目の前に降臨なさったのです。
もう、ありったけの感謝という感謝を伝えました。
「何度かヒッチハイカーを乗せたことあるんだけど、皆良い人達でねぇ。なんだか力になってあげたくなっちゃうのよ。」
こんな優しい方に出会えた事だけでも、ヒッチハイクに挑戦して良かったと思いました。
そして高速に入り、利根川を渡るあの瞬間の爽快感は一生忘れることは無いと思います。
守谷から盛岡まで!
「東北方面を目指しています!
次のSAまでお願いします!」
こんなボードを掲げて、サービスエリアの端っこで立ちました。
一度成功した喜びから、きっとその前より表情も明るくなっていたことと思います。
なんと5分も経たないうちに、なんと茨城の北部、中郷まで連れて行ってくださるドライバーの方に巡り会いました。ドライバーさんのアドバイスの元、中郷からは、東北道を目指す車を見つけると良いよ、とのアドバイスをいただきました。
そこから福島の郡山方面を目指す方に、阿武隈SAまで乗せていただきました。
その次は福島の安達太良SAに、次は宮城の菅生PAに、そして宮城の三本木PAまでたどり着くことが出来ました。
このとき時間は16:10、雲行きは怪しく、スマホで天気予報をチェックすると30分後から夜まで雨が降り続くとのこと…。
しかも三本木PAは、非常に小さなパーキングエリア…。
ここは意を決して、ドライバーの方々に直接交渉をすることに決めました。
20分が経過して、どんどん雲行きが怪しくなる中、なんと盛岡行きのドライバーの方に巡り会いました。
快諾してくださり、そしてついに盛岡に辿り着くことが出来たのです…!!
盛岡の夜の雨は寒かった!!(雪じゃなくてよかった
盛岡市内とバスで沿岸部へ
その日の夜は、安いネカフェを見つけたので、そこで泊まることにしました。
夕飯は、盛岡名物じゃじゃ麺。美味しく頂きました!
翌朝、ヒッチハイクで沿岸部へとも思ったのですが、時間が読めないということで断念。
無難にバスで行くことにしました。
途中、岩泉にある龍泉洞という鍾乳洞を観光してきました。
幻想的なライトアップがされたこの洞窟、本当におススメです。
そして、復旧した三陸鉄道に揺られて、最終目的地である田老に着きました。
ここでの話は続きの記事で紹介しています。
この記事の終わりにもリンクがあるので、ぜひこの記事の後にお読みください。
そして、数時間の田老の滞在の後、バスでまた盛岡に向かいました。
盛岡から関東へ!!
ヒッチハイクをする上で、どうも高速に入るまでが本当に難しいことを知ったので「夜のうちに出来るだけ進みたい!」と判断し、盛岡ICまで5km歩いてボードを掲げました。iPhoneのライトをボードと自分の顔に照らして、必死にアピールします。
この時19:20、気温は5℃でした。
とはいえそもそも車はそれほど走っておらず、真っ暗な道端に怪しい人影がポツリ。
普通に考えて拾ってくれるはずがありませんね…。
1時間が経過したあたりから、
「潔く今日の夜は諦めて、明日の朝また頑張ろう…」
そんな風に思いながら、ちょっとずつ盛岡駅の方に移動しながらボードを掲げました。
1kmほど歩き、コンビニの近くで立っていたときのことです。
神様が現れたのです。
なんと紫波SAまで乗せていっていただけるとのことでした…!
心が折れかかっている中の出来事。感謝という感謝の言葉を述べました。
紫波SAでまたボードを掲げていると、長者原SAまで乗せていただける優しいご夫婦に巡り会いました。
親戚の方が岩手県の沿岸部にお住まいだったということで当時のお話を伺いましたが、言葉が出ないほどに壮絶なものでした。
長者原SAで降ろしていただいた後、ここで仮眠することにしました。
明け方にヒッチハイクを再開し、なんと茨城の中郷まで乗せて頂けるご夫婦に巡り会いました。
なんと途中のSAで朝ごはんもご馳走になってしまいました…感謝してもしきれません…。
中郷のSAからは、友部SAまで乗せていただけるファミリーに巡り会いました。
そして、友部SAから三郷ICまで乗せていただける方に声をかけて頂きました。
ゴールが近づき、これまで出会って来た方々のことを思い出していました。
出版会社のサラリーマンの方、温泉&競馬旅行中の仲良しご老人6人組、花見の観光帰りのファミリー、娘さんの大学の入学式帰りのご夫婦、ネモフィラを見に行く途中のご夫婦、友人に会いに行く途中のバドミントンプレーヤー、産業廃棄物を運ぶトラックの運転手の方、飲料会社のサラリーマンの方……。 普通に暮らしていたとして、おそらく出会うことのなかったはずの方々。
そして、みなさん口を揃えて仰るのが「たまたま縁があったからだよ」という言葉。
正直、運命とかそういうことはあまり信じる方ではないのですが、今回ばかりはそういう言葉を信じてみてもいいのかなって思いました。
どこかで違う方に声をかけていたら、きっとその後に出会うはずであった方々とは出会えていなかったのかもしれない。
それでも、それはそれでまた他の出会いがあったのかも知れないけれど。
私は今回のこの出会いを、忘れ得ない、代え難い財産として、一生大事にしていきたいと決めました。
そして…
ついに、無事に関東に帰還したのです。
おわりに
「何事も、1人じゃなんもできないよなぁ」
これは、最後に乗せていただいたドライバーのおじさんの言葉です。
本当に文字通り、この旅は1人じゃ何も出来なかったことと思います。
私はこの旅を達成して思うことは、別に自分は偉くも凄くもなーんでもないということです。
優しいドライバーの皆様が、本当に本当に本〜当にすごい方々だったから旅が成功できたのです(致命的な語彙力)。
少し前にも書きましたが、乗せる方としては何もメリットはありません。
乗せていただいた方々は全員、本当に全員、穏やかで優しい方々でした。
正直ヒッチハイクをする前は、半ば利己的に
「ヒッチハイクで冒険したい!なんか変わったことしたい!」
こんな事をちょっぴり考えていたことをここに自白します。
色んな方の本当の優しさに触れた今、誰かにお返しをしたいと、素直に思うようになりました。
最近知った言葉に、「Pay it forward」というものがあります。これは日本語で言うと「恩送り」です。
恩返しではなく、恩を「送る」のです。
恩を返すということは、その二者だけで関係性は終わってしまいます。
しかし受けた恩を他の誰かに「送る」ことで、その人も誰かに恩を送り…そのまたさらに誰かに恩を送り…そして世界が優しさに満ち溢れる…言い過ぎかはわかりませんが、こんなことを本気で考えました。
この旅で出会ったドライバーの方々に直接恩を返すことは、なかなか難しいかもしれません。
しかし、私はこの恩を誰かに送ることにしたいと思います。
そしてここまでこの記事を読んで頂いた「あなた」が、これを通して何か元気が出たり、世界を見る視座に何か影響を与えられたとしたら、これも一つの「恩送り」なのかなと思います。
とにかくこの旅を経て、色んな方々の優しさを受けて、なんだか人間として少し成長できた気がします。
…アレ?
冒頭に紹介した友人と、なんだか同じような事を言ってません?笑
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
また、続きの記事が完成しました。
よければこちらも合わせて読んでみてください。
koto-science.hatenablog.com
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