KOTOの理科的つぶやき

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ニュートリノとは一体ナニモノなんだ?!~簡単に解説してみたよ~

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はじめに

梶田隆章先生のノーベル賞獲得のニュースでとても話題になっていますね。しかも日本人が2日連続の受賞なので、世間はお祭り騒ぎです。 授賞理由は「ニュートリノ振動の発見」
言いかえれば、「ニュートリノの質量の発見」。これは実に快挙ですね…!

…え?
…ニュートリノって何?

確かに普通に暮らしていて、ニュートリノという単語を聞くことってなかなか無いですね。おそらくニュートリノなんて知らない人がほとんどでしょう。 今回はそんな人のために、ニュートリノと今回の授賞理由などについて簡単に解説していきたいと思います。

この世で1番小さいものって?

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さて、突然ですが質問です。今現在わかっている中で最も小さいモノって何だと思いますか?

きっと昔、高校化学の授業などで「最も小さい物質は原子だ」と教えられた人もいるでしょう。*1
原子はあらゆる物質を細かく分けていったときに、最終的に行き着く最も小さいモノだと考えられてきました。でも原子もよく調べてみると、もっと分けられることがわかりました。

最後まで分けていったとき、最終的に行き着くのは「素粒子」であると現在考えられています。

この世の最小単位、素粒子。
そして例のニュートリノも、この素粒子のうちの1つなのです。

ニュートリノってどんな物質?

まずニュートリノなどの素粒子の特徴は「とにかく小さいこと」です。
どのくらい小さいかというと…

「直径1000兆分の1ミリ以下!!」

ええ。ピンとこないですね。
例として、ヒトの細胞*2を考えてみます。これは顕微鏡でやっと見えるくらいの小ささです。頑張ってこいつを地球の大きさ*3まで、えいやっ!と引き延ばしたとします。
それと同じ要領で、ニュートリノもえいやっ!と引き延ばしたとしましょう。

あの小さい細胞がでっかい地球くらいまで大きくなりました。
さてニュートリノは果たしてどれくらいの大きさなのでしょう…。

…それでもなんと、顕微鏡でやっと見える大きさまでにしかならないのです!!めっさ小さい!!!!

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(これでもわかりやすい例を探すのにだいぶ苦労しました。何か他に良い感じの例があれば教えてください。)

ニュートリノってどこにあるの?

この謎のミニミニ物質ニュートリノ。これは一体どこにあって、どこから来るのでしょうか。
実はニュートリノは、宇宙空間にいっぱい充満しているのです。
それどころか、この地球上にも同じようにたくさんいるのです。

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カシオペア座Aの超新星残骸(提供:NASA/CXC/UMass Amherst/M.D.Stage et al.)

ニュートリノは、とても大きい星が超新星爆発という大爆発を起こす時、大量に放出されると言われています。つまりほとんどのニュートリノは、宇宙のかなた遠くからはるばるとやってきたことになります。

ここで、ニュートリノの大事な特徴を紹介します。
それは「電気的に中性である」ということです。電池とかならプラスとかマイナスとかありますよね。つまり「ニュートリノはプラスでもマイナスでもないよ!」ということです。
それがどうかしたんか?と思いますよね。実はこれによって不思議なことが起こるのです。

めちゃめちゃ小さいニュートリノが電気的に中性であるということは、つまりどういう事か…
それは、あらゆる物質をすり抜けて進んでしまうということなのです。

先ほど、地球上にも大量にニュートリノがいるのだと説明しました。
これはつまりニュートリノは空からも地下からも、前からも後ろからも右からも左からも、あらゆる方向からすり抜けて続けているのです。

しかもその量なんと、1秒間に私たちの体を ”100兆個” もすり抜けていると言われています。
それでも痛くも無くかゆくも無いので、私たちは普段当然気付くわけもありません。
うーん。ニュートリノって不思議な物質ですね…。

今回なんでノーベル賞を受賞したの?

もともとニュートリノは、質量がゼロ(重さが無い様なもの)であると考えられていました。
梶田先生は、ニュートリノが移動している間に別のニュートリノに姿を変えたり戻ったりすることを、スーパーカミオカンデというドデカいプールみたいな観測装置を使って発見しました。
この姿を変えたり戻ったりすることを「ニュートリノ振動」というのですが*4、このことは実はニュートリノに質量がないと考えると説明がつきません。

つまり、「じゃあニュートリノって質量あるんじゃん!」ということを発見したのです。
このことはこれまでの物理の常識を一変させる発見となりました。これが今回のノーベル賞の受賞理由となったのです。

※ちなみにこの発見自体は17年前にされていました。ノーベル賞の受賞には、たいてい20年ほどの年月がかかる傾向にあるようです。

この発見はどう役に立つの?

「どうやらすごい発見だったみたいなのはわかったけど、実際のところ生活にどう役立つの?」
正直なところ、ほとんどの人が一番興味のあるところではないでしょうか。
ニュートリノを直接発見したことで13年前ノーベル賞を受賞し、梶田先生の師でもある小柴昌俊先生はこんな言葉を残しています。

「この研究は100年くらい経たないと、役に立つかどうかわからない

私はこの言葉にとてもシビれました。
科学の原点ともいえる「知りたい」という純粋な知的好奇心がなければ、こんな研究もしないだろうし、このような発見もなかったと思います。 さらに梶田先生はこの研究について、このように言っています。

「あえて言うなら、人類の知の地平線を拡大するようなもの」だと。

ニュースでそんなことを聞いて、夕飯を食べながら思わず鳥肌が立ってしまいました。

そして今最も注目されているのは、このニュートリノをとらえることによって宇宙の始まりを観測できるのではないかとニュートリノ天文学の分野が期待されています。
光も直進できなかった初期の宇宙でもニュートリノなら進めた可能性があり、もしかしたらそのニュートリノをとらえることで、未知の宇宙創成の手がかりが掴めるかも知れないからです。

宇宙の始まり…
完全にロマンの塊ですね。 今後の動きに目が離せません。


おわりに

実は私にとってニュートリノは、理科が好きになったきっかけなのです。
小学生の時、お台場の日本科学未来館という博物館でニュートリノという物質に出会いました。当時、特に理科が好きというわけでもなかったのですが、説明員のおじいさんがわかりやすーく丁寧にゼロから教えてくれたのです。
それがきっかけで素粒子や宇宙、さらには理科に興味がわくようになった為に、今の自分がいるのだと言っても過言ではないように思います。

それだけ私にとって感慨深いニュートリノ。
これが理由でまた日本人がノーベル賞を受賞したとあらば、ブログに書かない理由はない!と意気込んで、徹夜して書き上げたわけでございます。
また別に、素粒子について解説する記事でも書こうかなと思います。その為にはもっとちゃんと勉強しなければなりませんが…。

今回も、ここまで読んでくれてありがとうございました!
おやすみなさい!!!!!   10月7日8時00分


~~追記~~
素粒子についての解説記事を書きました!
よければこちらも読んでみてください!!

koto-science.hatenablog.com




・・・・・

ここまでお読みいただいて、本当にありがとうございました。
改めまして、KOTOと申します。
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こちらの記事はいかがでしたでしょうか…?
ニュートリノについての不思議が少しでもお伝えできていたら、とても嬉しいです。

私は「理科の面白さ」をたくさんの人に伝えようと、大学生の頃からブログを書いています。
まさに画面の前の“あなた”が、無数のウェブページの中から何の偶然かこのページにたどり着いて、この記事の話を伝えられたのは正直、本当にものすごーく奇跡的なことだと思っています。
ひとつのステキなご縁ですね。

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それではぜひ、これからもゆるーくお付き合いお願いします…!

*1:原子とは、水兵リーベ―僕の船…とか言いながら覚えたアレのことです

*2:モノにもよるが10µm位とする

*3:直径1万km位とする

*4:なのでニュートリノ振動は、ニュートリノがブルブル震えるというわけでは無い