素粒子って一体どんなものなんだ?! ~簡単に解説してみたよ~
はじめに
この世界は一体どんなもので出来ているのでしょう。
大昔からこのような疑問はずっとありました。
ある昔の偉い哲学者が言いました。
「この世界のあらゆるモノは地・水・火・風の4つの要素で出来ているのだ!」
実際そんなわけないのですが、これが形を変えて発展していって現在の科学に至るわけです。なので、実はコレとっても偉大な考えなのです。
さて、
これが脈々と受け継がれて発展していった現在の科学では、この世界は一体ナニで出来ていると考えられているのでしょうか。
それは…
「素粒子」です。
素粒子とは、物質を細かくバラしていったときに最終的に行き着くめちゃめちゃ小さい粒々のことです。
その大きさはまだはっきりとは解明されていないのですが、少なくとも0.0000000000000000001mm以下*1と言われています。
もう、めちゃめちゃ小さいです。
この素粒子には大きく分けて
「物質を作る素粒子」「力を伝える素粒子」「質量を与える素粒子」の3種類の特徴を持つグループがあります。
それでは、それぞれ簡単に解説していきます。
物質を作る素粒子のグループ「フェルミ粒子」
中学や高校の化学で、「この世のあらゆるモノは、全て原子からできている」と教わったことがありませんか?
しかしその原子自身は物質を作る素粒子で出来ているので、正確には間違いなのです。
ここから少しややこしいのですが、頑張ってついてきてください。
物質を作る素粒子はフェルミ粒子と呼ばれるグループです。
このフェルミ粒子の中でも、クォークというグループとレプトンというグループに分かれます。
クォークとレプトンにはそれぞれ6種類の素粒子があります。
図にまとめるとこんな感じです。
ちょっとわかりにくいと思うので、ヒトを例に素粒子まで分解してみましょう。
①ヒトは、細胞でできています。
②しかし、その細胞は様々な分子で出来ています。
③そしてその分子も、いくつもの原子がつながってできています。
この原子が最終的に行き着く最小要素ではなく、これは原子核とその周りを電子が飛んでいる構造をしています。この電子こそが、レプトン族の素粒子なのです。
④さらに原子核は、陽子と中性子で出来ています。
⑤そしてこの陽子や中性子というのは、クォーク族の3つの素粒子で出来ています。
今回はヒトで例えてみましたが、実は机でもペンでも肉でも水でもスマホでも…目に見えるようなモノは全て素粒子で出来ているのです。
つまり、この世のあらゆる全てのモノは…
上の図にあるたった数種類の素粒子で出来ているのです。
力を伝える素粒子のグループ「ゲージ粒子」
さて、この世の全ての「モノ」は素粒子で出来ていることがわかりました。
さらに、素粒子はこの世のあらゆる全ての「力」も伝えているのです。
力を伝えるこの素粒子のグループを、ゲージ粒子と呼びます。
この世界にはいろんな種類の力があるように思いますが、実はたったの「4種類」しかないのです。(この記事では詳細は省きますが、4つの力についての解説記事も今後書く予定です)
その4種類の力とは、
「電磁気力」「強い力」「弱い力」「重力」
の4つです。
それでは、それぞれの力を伝える素粒子を紹介していきます。
電磁気力を伝える「フォトン」
電磁気力とは、電気の力と磁力の総称です。
この力を伝えるのが「フォトン」という素粒子なのです。
ちなみに日本語では光子とも言います。(こうしです。みつこではありません。)
目に見えているような光はフォトンによって伝えられています。
もしフォトンが無ければこの世に光は無かったでしょう…。
また電磁気力というのは実はあらゆる力の正体なのですが、今回は深くは触れません…。
強い力を伝える「グルーオン」
強い力というのは、原子核の中性子と陽子をくっつける力の事です。
少しイメージしづらいですが、この力を伝えるのが「グルーオン」という素粒子なのです。
もしこのグルーオンがなければ原子核はバラバラになってしまって、当然私たちの体もバラバラになってしまいます…。
ちなみにこの「強い力」の由来は、上の電磁気力と比べて力が大きいことから名づけられたようです。
弱い力を伝える「Wボソン、Zボソン」
弱い力というのは特になじみのない力ですが、放射性物質がベータ崩壊という核分裂をした際に出てくる力のことを言います。
この弱い力を伝えるのが「Wボソン」や「Zボソン」という素粒子なのです。
Wボソンが出てくる時の図解です。
また「弱い力」の由来も、同じく電磁気力と比べて力が小さいことから名づけられたようです。
重力を伝える「グラビトン」
私たちは地球の中心に引っ張られています。
これは地球の重力によるもので、この力を伝えるのは「グラビトン」という素粒子であると言われています。
ただこのグラビトン、理論的にはその存在は予言されているのですが、実験などで直接観測されたことが未だないので実は未発見の素粒子なのです。
発見されてないのに、他の素粒子と一緒に紹介しちゃっていいのか?!という意見もきっとあると思いますが、
実は科学の世界(特に物理学の分野)では、発見されるよりも先に
「こういうモノがもしあったとしたら、色々上手く説明ができるよ!じゃあ、きっとそのうち見つかるんじゃないかな?!」
という話し合いがされた後に、実際に観測されて 「ほらね!言った通り本当にあったでしょ!?」というケースが本当によくあるのです。
質量を与える素粒子「ヒッグス粒子」
質量とは、あるモノの持っている量のことです。日常的には重さと言ったりもします。*2
1Lのペットボトルの水は1000gという質量、1円玉は1gという質量、ちなみに私は63kgという質量を持っています。(2015年12月現在の値)
そしてこれらのモノは、今まで説明してきた素粒子で出来ていることもわかりました。
ただしかし、ここまで紹介してきた素粒子自体は質量を持たないと考えられています。
とはいえ私たちの身の回りに、質量のない物質なんてほぼありません。
これを矛盾なく説明するにはどうしたらよいのでしょうか…?
ここである科学者は、
あらゆる素粒子に質量を与える素粒子があればいいのではないかと考えました。
これこそが「ヒッグス粒子」という素粒子です。
これが発見されたことで、そのある科学者”ピーター・ヒッグス”が2年前の2013年にノーベル物理学賞を受賞したのです。
ヒッグス粒子がどうやって質量を与えるの?
まず、人ごみの中をまっすぐ進もうとすることを想像してみてください。
次に、大きい荷物を持って同じ人ごみを進もうとするところを想像してみてください。当然荷物を持っている方が進みづらいはずです。
質量の大きさとは、このこの進みずらさの度合いにあたると例えられます。
つまり、この「人ごみ一人一人」がヒッグス粒子にあたります。
(※ただこの進みずらさ=質量の例えはあくまで超簡単な説明のための例えであって、きちんと説明しようとするとめちゃめちゃ難しいので、詳しく知りたい人は他の所で調べてください…。)
このヒッグス粒子は私たちの身の回りに当たり前にあります。
それなのに、空気の様に目に見えず耳に聞こえず、とにかく探すことがとっても難しかったので、ここ最近になるまで発見されなかったのです。
素粒子に質量を与える不思議な素粒子、ヒッグス粒子はその偉大さから「神の粒子」と呼ばれたりもします。
もし物体に質量が無ければどうなるのでしょうか。
なんと、すべてのモノが光の速さで勝手に飛び回ってしまうのです。
それは当然私たちの体も例外ではありません。
ヒッグス粒子が無ければ私たちは光速で飛び回ってしまうのです。
神のヒッグス粒子様に感謝ですね(?)
標準理論
これまで紹介してきたような素粒子の振る舞いを説明するモデルを、標準理論と言います。
これに登場する素粒子をまとめてみました。*3
ただ実はこの理論では、3種類のニュートリノ*4は質量を持たないことを前提としていました。
今年のノーベル物理学賞の受賞理由となった東京大学の梶田隆章先生のニュートリノ振動は、ニュートリノが質量を持つという発見でした。
ということはつまり「この標準理論、ちょっと直さないといけなくない?!」ということになってしまい、大ニュースになったわけなのです。
また、簡単にニュートリノの説明をした記事を以前書いたのでこちらも良ければ読んでみてください。
まとめ
今回は素粒子に関する内容という事で、ちょっと普段の生活の範囲では想像するのも難しいような話だったのではないかと思います。
この素粒子のことがわかるとどうなるの?という疑問をもつ人もいると思うので、ちょっとわくわくするような話があります。
宇宙は昔からずっと膨張し続けていることは知られています。
でもこのこ とは裏を返すと、昔にさかのぼれば次第に収縮していって、最終的には宇宙が素粒子サイズだった頃まで行き着くことになります。
今のところ、宇宙のはじまりを正確に説明する事はできていません。
ただ、もしかしたらこういった研究が進むことで人類最大の疑問の解決の糸口になる可能性を秘めているのです…!
ロマンあふれる素粒子の世界…。
…今後の研究にも目が離せないですね!!
それでは今回はこのへんでおわりにします!
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました!!
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koto-science.hatenablog.com
KOTOから一言
ここまでお読みいただいて、本当にありがとうございました。
改めまして、KOTOと申します。
こちらの記事はいかがだったでしょうか?
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私は「理科の面白さ」をたくさんの人に伝えようと、大学生の頃からブログを書いています。
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