KOTOの理科的つぶやき

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「もうB型の人を悪く言うのはやめてくれ」~血液型性格診断の真実~

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はじめに

私はこれまで、幾度となくいわれのない誹謗中傷を受けてきました。 ただ血液型が「B型」だというだけで…。

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今まで仲良くやってきたのに、自分がB型であることを打ち明けると「俺(私)、B型の人って苦手なんだよね…」と言われた経験は数えきれません。

果たして血液型と性格にはどんな関係があるのでしょうか…?
そしてB型の私はこれからも、世間から嫌われ続ける運命にあるのでしょうか…?

血液型性格診断の真実

すでに知っている人もいるかとは思いますが、実は血液型と性格には科学的に「強い関係があるとは言えない」ということは既に1991年の時点で実証されています。 つまり血液型性格診断とは一見科学的な装いをした、いわゆるニセ科学と呼ばれる部類なのです。

でもなぜ、世間一般では根強く信じられ続けているのでしょうか。血液型性格診断が広まった歴史と共に考えてみます。

血液型性格診断の歴史

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日本での血液型性格診断ブームのはじまりは、1971年に「血液型でわかる相性」という本がベストセラーになってしまった事が発端です。そしてこの本の付録に、統計調査と称して性格のアンケート用紙が付いていたそうです。
こういった統計調査の基本として、調べる対象は偏りがないようにランダムに選んでいく必要があります。
しかし当然このアンケートに回答したのは、「この本を買って、その中でもめっちゃ当たってる!」と思った人に絞られることが予想されます。「なんかこの本微妙だな…」と思った人はわざわざアンケートを送ったりはしないでしょう。
この偏ったデータを使って「ほらね、こんなに当たってるでしょ」と言っているわけです。

それでも本を買う人はそんなこと知らずに
「こんなに多くの人から集めたデータでこういう結果になったんだ!そりゃきっと正しいに違いない!!」といった具合で世の中に広がっていくのです。

でも実際その血液型診断については多くの人からの批判はあったようで、1991年にある社会心理学者が4ヵ年通じて3000人を対象にした大規模な調査をしました。
この調査によって、ついに「血液型と性格に強い関係があるとは言えない」ということがわかりました。

それなのに、どうして世間にこの調査結果が浸透しないのでしょうか。
いくつかその理由を挙げていきます。

血液型で性格がわかった方が世間的には面白いから

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正直、一番の理由はこれなんじゃないかと思います。
確かに初対面の相手などに、血液型の話をすると大抵盛り上がりますね。そこから「○○型の人とは付き合いたくなーい!」「○○型の奴って気が合わないんだよな~」などと話が展開していきます。(ちなみにこの○○型に入るのは大体B型…。)
そこでもしこんなこと言ったらどうなるでしょう。

「科学的に血液型と性格には関係があるとは言えないという統計が出ていますが、そこのところはどうお考えでしょうか?」
まあ確実にシラけますね。

正直世間一般では血液型性格診断が統計的に正しかろうと、間違っていようとどうでもいいのです。ただ話のネタになればいいので、間違ってたからと言ってその場では大した問題ではないのです。

また10年ほど前にテレビで血液型特集みたいなのが大々的に放送されていたことも、世間に定着してしまった一つの要因だと思います。「○校へ行こう!」や「発掘!○るある大事典」、「○もいっきりテレビ」などの多くの娯楽番組が、血液型と性格に関する内容を放送していました。

「テレビで放送するんだから、きっと正しいことを言っているに違いない!」
きっとそう思っている人は未だに多いのではないでしょうか。

科学的な考え方というのは一般ウケしないから

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別に科学は、人々の願いを叶える魔法の様なものではありません。科学の考え方というのは、実は世間的にはインパクトの弱いものなのです。

何度も書いたように、ちゃんとしたデータに基づいた科学的な立場からの意見としてはあくまで、
「血液型と性格に強い関係があるとは言えない」というものであって、「血液型と性格には何の関係もない」というわけではないのです。

「もしかしたら今後の調査で関係が見つかるかも知れないけど、でもこれだけ調査してこれだけ多くのデータを取ったのに、世間で言われてるようにハッキリとした違いは見られないよね。」というところまでしか言えないのです。

「なーんだ、科学って別に大したことないじゃないか…」と思うかもしれませんが、これこそが本当の科学の考え方なのです。

アンケートで統計調査的なことをしながら、いかにも科学的っぽい雰囲気で、 「血液型と性格にはこんな関係があるよ!○○型と○○型は相性がいいよ!」なんて断言してしまうのは、ニセモノの科学だと言えます。

心理学的な効果

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「大声で怒られて、人前で恥をかかされることはプライドを傷付けられる。」
これはA型の性格の特徴だと、あるサイトに載っていました。
さて、A型以外の皆さん。あなたは人前で、大声で怒られることは何とも思わないでしょうか。
数年前、各血液型の説明書の本が大流行しました。
正直どの血液型の本を見てみても、たいてい当てはまる内容が書いてあるのです。
こういった誰にでもあてはまる曖昧な説明を受けて、「あ!これ当たってる!」と感じるようなことを心理学の用語でバーナム効果といいます。

他にも、実際にA型の人が几帳面な性格かどうかは置いといて、ある子供を小さな頃から「君は几帳面な性格だね」と言い続けたらどうなるでしょう。
その子が本当に几帳面な正確になるかどうかは置いといて、少なくともきっと「自分は几帳面な性格なんだ」と思い込むことになるでしょう。
このような、いわゆる「刷り込み」のことを心理学の用語でラベリング効果と呼んでいます。
まして性格を調べるアンケートなんて自己申告なわけなので、世間で言われている性格に偏る結果になっても仕方ありません。

これら2つの心理学的な効果なども、血液型性格診断が根強く信じられ続けている要因になっているのだと思います。

これがまずいよ血液型

ここまで血液型と性格の関係に関するメカニズムをつらつらと列挙してきましたが、結局のところ血液型性格診断の何が問題なのでしょうか。

就活の面接で血液型を聞かれる

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どうやら就職活動の採用面接などで、血液型を聞かれることもあるようです。単なる緊張ほぐしの世間話として聞かれたならいいのですが、実際に応募用紙に血液型を記入する欄が設けられている事例もあったようです。
根拠のない事なのに、きっと採用の基準の一つになっていたのでしょう。
こういった本人の努力とは無関係な点で評価されることは、基本的人権の侵害につながると言っても大袈裟ではないと思います。

いじめや偏見の温床になる

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要はこれを言いたくてここまで書いたと言っても過言ではありません。
子供は大人の姿を見て育ちます。面接で聞いてしまう程に大人がこぞって信じ込んでいるものを、子供が信じない方が不自然です。
はっきり言って血液型性格診断は、いじめや偏見のもとになると私は思います。

「B型の人は自己中心的だから嫌いだ」
「ユダヤ人は劣性民族だから悪だ」
「黒人は頭が悪い人種だから野蛮だ」

ほとんど言っている次元は変わらないのではないでしょうか。

テレビや雑誌で血液型のレッテル貼りをすることで、差別的な思考を助長するようなことはこれまでに散々行われてきました。
B型やAB型は一般に「変わり者」とされているようですが、日本でB型は約2割、AB型は約1割と少ないのです。いじめの構図が出来やすいように思うのは、果たして考えすぎでしょうか。

おわりに

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実は最初は割と軽い気持ちで「血液型の批判の記事でも書こうかな~」と思ってたんですが、なんだか書いてるうちに気付いたらアツくなってだいぶ長い記事になってしまいました。

いろいろ調べていくうちに社会の闇が見えてきました。
ここに書いたことは、ぜひ一人でも多くの人に知ってほしいです。

ここまで読んでくれて、ありがとうございました!!
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