KOTOの理科的つぶやき

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セントラルドグマとは一体なんなんだ?(後編) 〜高校生や大学生向けに、転写や翻訳についてわかりやすく解説してみたよ〜

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はじめに

この記事は、タンパク質合成とセントラルドグマについての後半戦だ!
前編→後編(イマココ)」
もし前半の記事を読んでなかったら、先にこっちを読んでからざっと流れを掴んできてくれ! これね!↓

koto-science.hatenablog.com

前編はほとんど用語を使わずに説明した。
この後編の記事は、前編の記事を読んだ前提で説明していくぞ!
例えの解説を、用語も使いながら解説して行く!
それでもそこらへんの参考書とかよりは、かなり噛み砕きまくりだから安心してくれい!



ざっくり復習ね!

前回の記事を読んである程度できたかな?
ざっくりポイントをまとめるよ。

タンパク質の働きはその形によるんだけど、その形はアミノ酸のつながり方で決まる。
そしてそのアミノ酸のつながり方は、DNAに書かれている。

具体的な手順としては、タンパク質合成にはこの2つだ。
①設計書(DNA)から「型版」を作ります
②「型版」にアミノ酸をつなげまくります

要はこんなところだったな!
そしたらちょっと詳しく解説していくぞ!

そもそもDNAの構造

前編の記事では説明ハショっていたけど、DNAの”ハシゴ”の部分って4色で描かれている。

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こないだの写真と合わせると、こんな感じ。

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この4つの色が文字の役割を果たしていて、設計書になっているんだ。
英語だったら、アルファベット26種類の文字。
日本語だったら、50音だから50種類の文字。(正確には濁音とか含めたらもっとあるけどさ)

DNAの文字は4種類、つまりたったのこれだけで体の作り方が書かれているんだ。

A(アデニン)
T(チミン)
G(グアニン)
C(シトシン)

これがDNAの文字だ。
まあ文字と言うよりは、4種類の「塩基」っていうモノがただひたすら並んでるだけなんだけどね。

それを科学者が「これは文字的な役割をしているんだ!!」 って喩えて言っているんだ。

そして画像を見てお気づきだろうか。
DNAは2本の鎖で出来ているけど、お互いにくっついている部分は必ず「AとT」「GとC」みたいな感じで決まっている。
だからもし片方が何かしらの事故で欠けちゃったとしても、相方がいる限り修復出来る!
よく出来た作りだね!

工程①設計書(DNA)から「型版(mRNA)」を作る=「転写」!!!

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↑これ、前の記事の解説の画像(1色ver)

DNAから型版を作るっていうことはオッケーかな?
実はこの手順には、名前が付いている。
これを「転写」と呼ぶんだ!

そして今まで「型版」と呼んでいたコレ、実は「mRNA」って言うんだ!
読み方はメッセンジャーRNA!つまりメッセージが書かれているんだね!

もっと言うとこの「ファスナーのアレ」にも名前がついてる。
これは「RNAポリメラーゼ」と言うんだ!

そう、つまり”DNAに書かれている内容”をRNAポリメラーゼで、型版である「mRNA」を作って情報を移すんだ!
この流れのことを「転写」って呼ぶんだね!

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ちょっと難しいけど、なんとなくわかるかな…?
この用語たちは別に今すぐ覚えなくても構わない。
大事なのはこの一連の流れをなんとなーくでも理解すること。頑張れい!

そしてこの型版「mRNA」、もとのDNAの色の並びとほぼ同じだ!
ほぼって言ったのは、RNAだと「A、U、G、C」の4種類の文字になる。
DNAでいうTをUに置き換えただけだから、そんなに難しくないぞ!

工程②「型版(mRNA)」のところにアミノ酸をつなげまくります=「翻訳」!!!

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↑これ、前の記事の解説の画像ね

さっきと同じ流れで、mRNAのところに「運び屋」がアミノ酸をつなげまくるのはオッケーかな?
この手順にも、実は名前が付いている。
これを「翻訳」と言うんだ!

そして前回の記事ではちょっと説明を省いていたけど、この「運び屋」は「届け先」的なところに向かって走る。

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そしてこの「届け先」は「リボソーム」って言う。
あとこの「運び屋」、本当の名前は「tRNA」って言うんだ!
正しい名前バージョンを載せておこう。

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この届け先「リボソーム」は、正確には家みたいにずっとそこにカチっと留まるわけじゃない。ファスナーのアレみたいに少しずつズレていく。
ちょっとその誤解を与えないように、あえてレベル1の記事では登場させなかったんだ…笑

しかし、どうしてこの運び屋「tRNA」は、正しい順番でくっつくんだろう。

型版「mRNA」をよくみてみよう。
これはひたすら4種類の色がズラーッって並んでいるようにも見えるけど、実はこれは3つセットのグループが並んでいるようにも見えるね。(ちなみに、この3つずつのグループのことは「コドン」って呼んでいるぞ。)

運び屋「tRNA」の形は、イメージとして3色の足が生えている感じだ。
その3つの色に対応して、くっつくアミノ酸の種類が決まっているんだ。

そしてこの3色は、それぞれmRNAのハシゴに対応している。

もし仮にここで色の相性が違う奴がきたら、ソイツはくっつけない。
こういう仕組みで、くっつくアミノ酸が決まってくるって事なんだ…!
3色の並び「コドン」によって、くっつく運び屋「tRNA」が決まる。tRNAには、特定のアミノ酸しかくっつかない。こういうことだったんだな!!

ちょっと難しかったけど、イメージできたかな…?

そしてここまでの話を総括して(実際にはDNAの複製も含めるが)、この記事の一連の流れをセントラルドグマと呼んでいる。

DNAからmRNAを作って、その内容をコピーする。←転写
mRNAにアミノ酸を繋いでいって、タンパク質を合成する。←翻訳

要はこういうこと。
なんとなーくは理解できたかな…??

都合のいいキャラいすぎ問題

ここまで読んで、ちょいちょい疑問に思っていたんじゃないかな。
「なんだかやたらと都合のいいタイミングで、やたらと都合のいいキャラ出てくるな。」って。

いやいや、普通に考えてなんでそんな都合よく運び屋やらファスナーのアレやらでてくるのさ、と。

相手にあと一発銃で撃たれたら死んじゃうよってところで弾切れして間一髪助かる主人公ぐらい都合良すぎだよね。

でもこれは現実の話。
どうしてこれほどまでタンパク質を作るのに主人公補正がかかっているんだろう…。

そう…

それは……

全て仕組まれていたことだったのだ…!

つまりファスナーのアレや運び屋、届け先などなどの今まで出てきたキャラクター。
こいつらもまたDNAの設計書に書かれていて、そこから生まれたやつなのだ!!!

都合よく出てきた様に見えたアイツらは、タイミングも場所も全てDNAに予めプログラムされていたことだったのだ…!!!

正確に言うと、ファスナーのアレ「RNAポリメラーゼ」や届け先「リボソーム」もまたタンパク質なのだ!!

ちなみに運び屋「tRNA」は、型版「mRNA」と同じRNAの仲間だ。これもまたタンパク質で出来た「RNAポリメラーゼ」で作られる!!

レベル1の記事で「DNAは、体の設計書だ!」って言った意味、段々わかってきたんじゃないかな?

なんだか出来すぎた話じゃねえ…?!
誰か超絶頭のいいプログラマー的な誰かが作ったって言われても…もはや信じちゃうくらい、よく出来てるでしょ…?!



おわりに

何がやばいって、俺らの体、いや、すべての生物の体の中で行われているこれらのこと。
皆やってることなのに、知らなくてもなんも問題ない。
知らないままにでも、普通に生きていける。
でもこれをしなかったら生きていけない。
言いかえればこの記事の内容自体が、”生きるという行為そのもの”なのに、理解していないでも生きていける。

言いたいこと伝わるかな…?笑

誰かめちゃめちゃ頭のいいプログラマー的な奴が「生き物つーくろ!」って言いながら、これはこういう風にしてこういう風に動くようにして、この部分はこういう風に作って…ってやったんだったら、むしろ話は早い。納得できる。

でも本当は、環境に適合した奴が生き残るという自然の摂理がこうしてしまったのだ。
言い換えれば、そう。
こんな複雑な仕組みのたくさんの生き物、放っておいたら勝手にできましたってこと。

改めて考えると、めちゃめちゃ不思議なことじゃない?

例えるなら、マジでこんな感じだよ↓

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここは、たくさんの鉄くずが捨てられている広ーいゴミ捨て場だ。
ある日、雷がこのゴミ捨て場に直撃した。
偶然、いや、偶然も偶然、超絶奇跡的な偶然で、鉄くず同士がくっついたりしてロボットが出来てしまった。
さらにすごいことにこのロボット、勝手に他にもロボットを作ってしまうのだ。
今ではこの物置ではたくさんのロボットが作られたり食べられたりしている。
強いロボットが弱いロボットを食べて、食物連鎖ができている。
その中でもある賢い2足歩行型のロボット達は文明を築きあげ、ものすごーい勢いで頭が良くなってきている。
そんな中、ある1体のロボットが言い出した。

「え、待って…気付いちゃったよボク…。
僕も君も、小さいヤツも大きいヤツもそうだ…。
ここにいる全部のロボット…姿形は違えど、僕らって皆同じ仕組みで動いてない…??
つまり僕たち…どんなわけかは知らないけど、最初に偶然1つのロボットが出来たんだ。
そこから僕たち色んなロボットに、分岐して進化してきたんじゃないかな…?!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

でも実際に、本当にこんな話なんだ。マジで。 これ、実話をデフォルメしただけなんだって。本当に。 壮大な生命の神秘。感じてくれたかな…??



あ、ちなみにこの話には少しだけ続きがある…。

↓↓↓↓↓



そんな中、とあるブロガーロボットが現れた。
「これが勝手に出来たにし過ぎては出来過ぎじゃねえ??www
絶対俺らを作ったプログラマー的な人いるっしょwwwww」